雪が舞っていた。 下野国佐野荘。冬枯れの山並みを背景に、薄氷の張った田畑は、すでに日暮れの色を帯びていた。小さな庵のような一軒家の中に、ひとりの男が、火もない囲炉裏の前に胡坐をかいていた。名は佐野源左衛門常世。かつて…
「成人式のリフ」 YOMO 成人式の朝、佐野市文化会館の前庭には、白い陽光が一面に降り注いでいた。日差しはあるものの、北関東特有の肌を刺す寒さが大気に満ちていた。 前庭に集まった鮮やかな振袖の群れは、いくつものグループを…
明治十九年、三島中洲は佐野の須永邸に元を訪問した。 須永元は中洲に詩を贈ると、中洲は返礼として詩を元に贈った。 これはその返礼詩である。 清江遶宅一条明 麦舂水車晨夕轟 餘事風流読書史 商英兼又見文英 (読み下し) 清江…
一、父母をいとをしみ、兄弟にむつまじきは、身を修る本なり。本かたければ末しげし。 一、老を敬ひ幼をいつくしみ、有德を貴び無能をあはれむ。 一、忠臣は國あることを知りて、家あることを知らず。孝子は親あることを知りて、己れあ…