歴史小説「いざ鎌倉 -佐野源左衛門常世の一夜-」 作:蓬田修一

 雪が舞っていた。  下野国佐野荘。冬枯れの山並みを背景に、薄氷の張った田畑は、すでに日暮れの色を帯びていた。小さな庵のような一軒家の中に、ひとりの男が、火もない囲炉裏の前に胡坐をかいていた。名は佐野源左衛門常世。かつて…